SENSY株式会社
代表取締役CEO 渡辺 祐樹

高知県生まれ。慶應義塾大学理工学部にて、システム工学を専攻、人工知能アルゴリズム研究に従事し、2005年に卒業。
卒業後は、株式会社フォーバルに「アントレプレナー制度」で入社。
その後、2007年にIBMビジネスコサルティングサービス株式会社(現:日本IBM)にて、戦略コンサルタントとして製造業・サービス業の事業戦略策定、組織再編、業務変革などに従事。
2009年、コンサルティングファーム在籍中に公認会計士試験に合格。AI技術を活用した新規事業開発を得意とした、ファイナンス・会計から、成長戦略、業務変革、組織変革、営業・マーケティングなど幅広いビジネス経験を有する。2011年にカラフル・ボード株式会社設立、代表取締役就任。
2017年に SENSY株式会社に社名変更。

渡辺社長は、もともと起業や独立することを考えていたのでしょうか?

そうですね、大学4年生の時に考え始めましたね。
もともと物理に興味があり、慶応大学の理工学部に進学し、人工知能の研究室に所属したのですが、その時は研究者を目指していました。
ただ、技術の研究を進めていくうちに、単に技術をつくることではなく、「世の中に何が必要か、それらを実現するための技術は何か?」を考えるようになり、世の中にはまだない仕組みやビジネスをつくりたいと思い始めたのです。それを実現するための手段が起業でした。
また、学部内に起業家育成講座というビジネスの考え方などに触れる機会があり、そのような選択肢もあるのだという気づきを与えて下さったのも、後押しになったきっかけの一つです。

学生時代から、人工知能への興味は持っていたのでしょうか?

もとは、理論物理に興味がありましたので、理工学部に進学しました。理論物理というのは学問を人間が解くものであり、私が所属していた物理情報工学科では、コンピューターの力を使って物理を解くことを学ぶものでした。
その時、そのようなアプローチもあるということを知り、長年、人間が解けなかったものも解け、世の中の問題もそれらで解決できるのではないかと感じました。
そのため、物理は学問を解いていくものだと思っていましたが、コンピューターの力で解いていくことで、世の中に必要なサービスを生み出せるのではないかと気づいたのです。

人工知能を使って、どのようなビジネスを行うか、具体的には考えていたのでしょうか?

まず、起業することを考え始めてからは、大学院への進学をやめ、就職をしました。通信系の会社で営業、IBMで事業戦略、会計の勉強をし、経験と知見をつけてから起業しました。
IBM時代に、アパレルメーカーのプロジェクトに参画することがあり、業界構造を調べていくと、売上に対する在庫率が高いことに問題があることが見えてきました。「何が売れるか分からない」から、流行り廃りが激しいため、多くの在庫は無駄になってしまうのです。
ファッションのセンスは、人の感覚に大きく依存しますので、人の好みや特徴を正確に把握することができず、新しい商品はなるべく多くの種類の商品を仕入れ、それが在庫になっている状況でした。
この問題を人工知能を使い、解決したいと考えていました。

それが、現在の「SENSY」というサービスですね。

はい、人の持つファッション感覚や好みを人工知能に学習させ、「売れるもの」の予測を立てられるようにしようと考え生み出しました。
ユーザーの感性を把握するだけでなく、商品企画やマーケティング施策に反映させることで、効率的な開発やプロモーションを行うことができる支援も実施しています。
またユーザー側も、一人ひとりの感性にぴったりの新作アイテムやコーディネートのレコメンドができますし、アパレル企業のオンラインショップやIDと連携することで、お気に入りブランドでのコーディネートができるのです。

起業当時から感じていた課題を形にされたことかと思いますが、今まで会社の危機などはありましたか?

創業当初は、経営学の知識はありましたが一人で立ち上げ、資金もなく、アパレル業界に対する経験や人脈もなかったため、どのようにビジネスをつくっていくかについては悩みましたね。ただ、デザイナーや工場の現場など、多方面に話を聞きにいき、支援して下さる方々が現れたりと構築していきました。
また、2014年にSENSYを立ち上げたのですが、当時はまだAIなど、社会への浸透がされていませんでした。
弊社では、いち早く立ち上げたことによりメディアにも取り上げられ、ユーザーも多くついていたのですが、マネタイズもうまくいかずに、会社の預金残高2万9千円くらいにまでなりましたね。
運が良かったこともありますが、ベンチャーキャピタルとパートナーシップを組めることになったりと、今では10億4千万円の資金調達を行い、活動の幅が広がっています。

今後は、どのような方々と一緒に働いていきたいですか?

能力やスキルはもちろんですが、マインドを重視しています。
「世の中に何かを生み出したい」と思っている、起業家精神やアントレプレナーシップを持っている方ですね。0→1を生み出して、10にも100にも作り上げて行く方。そこに自分のモチベーションや生きがいを求めている方ですね。
そのために、我々も組織力やマネジメントは強化し、環境づくりをしています。
具体的には、自分自身の考えや評価を仕組化していくことを考えています。また、コミュニケーションの活性の場として、「カラフルパーティー」というものを企画し、社外の方や入社予定者にも参加いただき、意図的に環境をつくるようにしています。

最後に、次の一手を教えてください。

直近3年以内には、国内におけるパーソナル人工知能のプラットフォームを築くこと。また5年後にはそれらをグローバルに拡大し、10年後には、コンシューマーの生活を変えるようなアプリを展開していきたいと考えています。
そのためには、スピードが重要だと思っています。
パーソナル人工知能も技術も進化しないとならないと思いますし、技術をつくることも採用も、スピードを重視して、妥協せずに取り組んで参りたいと思います。